Virtual Reality
The
New Approach
世界初のデジタルファッションショーとなった
2021年春夏
──異業種10人が各々のベストルックを発表!【田中知之・関 杏輔・齋藤将志・土屋 航と千葉 良編】
──異業種10人が各々のベストルックを発表!【田中知之・関 杏輔・齋藤将志・土屋 航と千葉 良編】
本年はコロナ禍の影響で、本来ミラノ→パリと開催されるコレクションの順番がパリ→ミラノに。何より、ほぼすべてのブランドがショーをネット配信。全人類が最新のルックを公開と同時に観られるようになった。そんな激動の2021年春夏コレクションから、異業種10人がベストルックをご紹介。まずは田中知之・関 杏輔・齋藤将志・土屋 航と千葉 良がベストルックをご紹介。
HERMÈS
今回のデジタルでの開催はフリースタイルのクリエーション格闘技を観るようで非常に楽しめた。日本人メゾンのきめ細かなクリエーションに勇気付けられながらも、老舗
エルメスのエスプリと安定感に満ちたコレクションに私が心惹かれてしまったのは、余りにも未来が不透明だからだろうか? モデルが涼しげな
ジャケットの襟元の隠しポケットから
iPhoneを取り出した瞬間、コロナ禍で枯れかけた私の物欲の泉に水が注がれた。
マイベストルック by 田中知之 音楽家
DOLCE & GABBANA
私が選んだベストルックは、ドルチェ&ガッバーナのファーストルックです。完璧に仕上がり切った体に、ガウンとショーツ。これぞTHEドルチェ&ガッバーナ! 的ゴージャスさ。コロナ禍で南国リゾート地でのバカンスは現実的には難しい昨今ですが、このガウンを羽織ってプールサイドを闊歩したら、イタリアのポジターノにいる気持ちになれそう(仮にそこがジムのプールだったとしても!)。そんなパワフルなルックが気分です。
マイベストルック by 関 杏輔 テイラー
ZEGNA
2021年春夏で気になったのは、Zゼニアの5ルック目です。キャップにブルゾンとカジュアルなのに、ホワイトパンツの効果で上品な印象ですよね。ブルゾンは特に上質な素材感と美しいシルエット、配色のセンスが最高で、はっと目を惹かれました。ルック全体から漂うスポーティながらモードな空気がZゼニアらしく、かつ今っぽい。思わず自分が着たらどうなるか、しばらくスマホを見る指を止めて空想させる力のあるルックだと思います。
マイベストルック by 齋藤将志 ヘアメイク
GUCCI
本来ならサンフランシスコで発表されるはずだったグッチのクルーズコレクションは、ミケーレが得意とするヒッピー要素の純度がいつもより高めな気がします。なかでも、サンフランシスコを代表するカルチャーであるビートを体現するようなルック。ボタンのないラガーシャツに極太ラペルのベルベットジャケット、ちょうどよく褪色したベルトレスのブルージーンズは、まるで若かりし頃のアレン・ギンズバーグのよう。詩的なルックですね。
マイベストルック by 土屋 航 フォトグラファー
Y/PROJECT
今勢いのあるブランド、Yプロジェクト。1つのルックのアイテムの着方を変えていくことで、まったく違うスタイルになっていくという、ユニークなムービーでした。ショーは完成形を見せるものだ、という先入観を打ち破っているところや、服が人に合わせるという発想、そしてジェンダーレスなモデル使いが今らしい。僕だったらこのコレクション、どうスタイリングしよう……そんな妄想を広げさせてくれる、お気に入りのルックです。
マイベストルック by 千葉 良 スタイリスト
Photos 小嶋晋介 Shinsuke Kojima、長尾大悟 Daigo Nagao
Styling 千葉 良 Ryo Chiba / Words 小津はるか Haruka Ozu、田中知之 Tomoyuki Tanaka